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プロジェクトストーリー「MONSTER」

大風量のさらにその先へ。 「MONSTER」 フルモデルチェンジへの挑戦。

コイズミブランドの看板商品「MONSTER(モンスター)」。
圧倒的な風で高い速乾性を実現するこのヘアドライヤーは
発売から10年以上たった今もロングセラーを続ける人気の商品だ。
2024年、小泉成器はこのモンスターをフルモデルチェンジした。
プロジェクトメンバーの声をまじえながら、そのプロセスをお伝えしていこう。

Project member
  • U.M
    1998年入社
    商品事業部 第二商品部
    法学部 法律学科卒
  • S.K
    1988年入社
    R&Dセンター 商品企画開発部
    デザイン開発課
    工業工芸デザイン学科
    プロダクトデザイン専攻卒
  • K.O
    2022年入社
    商品企画開発部 商品企画課
    音響工学科卒
  • T.S
    2009年入社
    商品事業部 第二商品部
    社会文化学部 人間環境学科卒
Chapter 01

「10年目の決断」
BLDCモーターの採用

コイズミブランドを代表する商品「MONSTER(モンスター)」が発売されたのは2013年のことだった。以来、その象徴である「大風量」という価値を武器に多くのユーザーに評価され、ロングセラー商品として確固たる地位を築いてきた。ダブルファンを搭載し、圧倒的な風量で髪を素早く乾かす。その速乾性は時代の共働き化・時短ニーズとも合致し、シリーズ累計でヒットにつながった。

しかし10年という年月は技術革新のスピードとともにユーザーの期待値も大きく変える。これまでモンスターは毎年モデルチェンジを重ねてきたが、いずれも性能の改良を積み上げるマイナーチェンジが中心だった。そんな中、2022年11月に「フルモデルチェンジ」という大胆なプロジェクトが立ち上がった。初代モデルの発売からちょうど10年目という節目でもあった。

プロジェクトリーダーを務めたUは、新モデルの核心をこう語る。「新たなモデルではBLDCモーターを採用することにしました。従来使っていたDCモーターに比べて回転数が約7倍から10倍になるので、そのぶん風圧が強くなり、速乾性を向上させます」。BLDCモーターは高効率・高耐久で制御性にも優れる。圧倒的な風を売りにするモンスターとは相性が良い部品であり、その採用こそがフルモデルチェンジの理由だった。

BLDCモーターを搭載することでファンの回転数は従来の1万回/分から最大10万回/分へと一気に跳ね上がった。技術的な革新とともにブランドの象徴である「大風量」をさらに先へと押し進める──10年目の決断は、こうしてスタートしたのである。

Chapter 02

「デザインへの挑戦」
速乾と軽量の両立を求めて

それは新たな課題の始まりでもあった。BLDCモーター採用によって性能は大幅に向上するが、同時にデメリットも生じる。重量増加と騒音の問題である。これを解決しなければ「モンスターらしさ」は保てない。歴代モデルのデザインを手がけてきたSは振り返る。「大風量で速乾性をアップするということは、重さが増して音が大きくなるデメリットもともないます。それをクリアするのが大変でした」。

モンスターを象徴する「ダブルファン」構造を維持することも難易度を高めた。従来は1本のモーター軸で支えていた構造を、今回は2本の軸で実現する必要があったためである。

さらに、ユーザーから高く評価されてきた特許機能「フレックスノズル」も改善が求められた。広範囲にも集中にも風を切り替えられる利便性はそのままに、BLDCモーター採用による高風圧に耐える精度が必要となった。

「今回はBLDCモーターを採用したことで風圧が高くなり、ノズルの隙間から風が漏れるようになったんです。部品の精度を高めることで何とか解決できましたが、けっこう苦労しましたね」とS。協力工場との何度にもわたる調整交渉の末、ノズルの隙間は1ミリから0.2ミリへと精密化され、ようやく理想の形に近づいた。

その後、2023年6月には試作品が完成。実際のユーザー目線で評価するべく、Tがテストを担当した。「第一印象は『すごい』でした。風速・風圧ともにパワーアップして、これはいけると思いました」。しかし同時に「重さ」への懸念が浮上した。パワーアップしたぶん質量が増し、女性が扱うには少々負担がかかるのではないかという話になったのだ。

そのフィードバックを受け、Sは再びデザインを調整。最終試作品が完成したのは2024年春だった。新しいモンスターはようやく市場投入の準備段階に入ったのである。

Chapter 03

「量産化と納期との戦い」
全国約2500店舗へ向けて

2024年6月、小泉成器は取引先を招いた展示会を開催した。そこで披露された新モンスターに対し、家電量販店バイヤーたちは次々と前向きな反応を示した。「ぜひうちで取り扱いたい」「当社では全店舗で並べたい」。反響の大きさにUは「これはリリースを遅らせることはできないぞ」と気を引き締めた。モンスターは毎年11月にリリースするのだが、それに間に合わなければチャンスを逃す可能性があるからだ。

ここから量産化チームの本格的な戦いが始まった。担当したKは、当時の状況を「納期の面ではかなりプレッシャーを感じましたね。早め早めの対応で乗り切っていかなければ間に合わない状況でした」と苦笑する。海外工場と連携し、金型、基盤、法規制、梱包材など量産に必要な項目を次々と確認し、スケジュールを前倒しで進めた。

しかし、その最中に重大な問題が発生する。基盤のバグにより、ドライヤーのデジタルディスプレイが正常に表示されないトラブルが生じたのである。量産開始までの時間は限られ、この問題を解決しなければ発売は難しかった。Kは「何度も何度も工場の担当者と連絡を取り合って、細部を詰めていきました。時間との戦いでしたね」と語る。

たび重なる調整と検証の末、9月にはようやく本格的な量産体制が整った。ギリギリではあったが、11月の発売日には間に合う。並行してTは広報・販促チームと連携し、営業が商談で使用する資料やプロモーション施策を練り上げていった。全国約2500店舗での取り扱いが確定していたため、発売に向けた準備は緊迫感を増していった。

Chapter 04

「モンスター史上最高性能の実現」
発売、そしてその先へ

そして迎えた発売当日。フルモデルチェンジした新モンスターは全国のエンドユーザーの前に姿を現した。「BLDCダブルファンドライヤー」と名付けられた新モデルは、最大風速46m/秒を達成。従来比で約1.8倍の風速、約2倍の風圧を実現し、乾燥時間は約20%短縮された。一方で体積は44%、重量は22%削減し、「モンスター史上最高の速乾性とミニマム化を両立したモデル」として誕生した。

Uはこう語る。「モンスターの最大の売りは『速乾性』。時間に追われる現代人の時短に、少しでも役立てたらうれしいですね」。10年を経て行われたフルモデルチェンジは技術革新だけでなく、ブランドの未来を切り開く挑戦でもあった。

開発、デザイン、量産、販促。それぞれの専門性を持つメンバーが課題を突破し、互いを支えながら前へ進んだ。プロジェクトの結実としての新モンスターは、まさにチームワークの象徴であり、新たな伝説の始まりとなったのである。

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